KSプロジェクト「海城生の知らない世界2024」1日目

2025.02.21

  • KSプロジェクト

今学期、新たなKSプロジェクトとして「海城生の知らない世界」が開講しました。教科の垣根を超えた学びの機会を提供するKSプロジェクトにて、海城生が普段の生活や授業ではなかなか知りえない社会の様相に目を向け、新たな世界を開拓するためのきっかけを提供したい、という思いから有志の教員で始動しました。

この講座では中1~高2から受講希望者を募り、様々な職種・経歴の方をゲストにお迎えし、ご自身の活動をとりまく社会的な状況や、ご自身のライフヒストリーについて講演していただきます。そしてそれぞれの講演を通じて、生徒自身が「知っている世界」の外側に目を向け、自身の生き方・進路・種々の社会的課題について考えるきっかけとしてもらいたいと考えています(そして担当教員自身の視野も広げていきたい、という思いもあります)。

去る2月18日、記念すべき第1回を開講しました。今回は児童養護施設に勤務されている小杉大輝さんを外部講師にお迎えし、児童福祉・児童虐待の現状や施設での生活の模様をお話しいただきました。生徒たちも「新聞やニュースで聞いたことがある、自分とは縁のない世界」について、実体験に基づく具体的な話を交えて講演していただいたことで、現実の社会問題として関心を高めている様子でした。

小杉さんご自身の経歴や学生時代の思い、児童養護施設に着任する前と現在の心境の変化についてのお話もありました。希望者を対象とした小規模講座である強みを活かして対話形式で展開してくださり、生徒もより理解が深まったことでしょう。

最後に、今回の講義に参加した生徒の感想を一部抜粋してご紹介いたします(表現は一部改めていますが、基本的に原文ママです)。

・「海城生の知らない世界」というのは本当だな、と感じた。今までフィクションなどで虐待を間接的に見たことはあるが、現場の本音はさまざまなものがあった。また、「施設で育った子はみんな家族です」と言う人は一部であり、自分が思っているイメージとはかけ離れていた。(中1)

・今回の授業で最も響いたのは、「正論や持論より助けや支援」という言葉だ。講釈をたれるまえに実際の助けが必要というのは、本当に当たり前だと思った。自分もそうできるようになりたい。(高2)

・虐待通報について、自分の中で抵抗感がありました。例えば、隣の家で叱る声が聞こえてもそれが「虐待」なのか、「教育」なのかはすぐに区別できないし、仮に虐待であったとしても100%母親が悪いとは言えない(環境や社会にも問題がある)と思うからです。自分の通報のせいで親子が離れ離れになってしまったら、という怖さもありました。しかし、児童養護施設の実情を知り、虐待を受けた子どもがいろんな形で支援を受けられることが分かって通報への抵抗が少なくなりました。(高2)